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暁差す空の果て、その巨躯の翼竜は一行の前に出でる。ロイドは気配感知でその存在を知ってはいたが、「接敵する前に突き落とされては面白くない」と、敢えて黙っておいたのだ。
「ひぃぃっ?! ど、どどっ、ドラゴンッ?!」
......そのせいで、ムコーダは取り乱してしまったのだが。
「ムコーダさん達は後ろへ。ロイドさん、戦えますか?」
「はいっ! いつでも行けますよ......!」
そう興奮気味なロイドの返事に、ロキシーはなんだかんだ慣れてしまったのか、やれやれと鼻で笑うくらいだった。
一方、後方に下がってもなお震えが止まらないムコーダに、シルフィエットは優しく肩を叩いた。
「大丈夫ですよ、ムコーダさん」
「......イヤイヤ、だってドラゴンですよ?! フェルの結界があるとはいっても、ブレス吐かれて丸焦げなんて......」
「きっとボクらが料理される前に、二人は美味しく平らげると思いますよ」
そう、方や水王級魔術師、方や規格外の魔法狂信者。
二人が杖と手を竜にかざすと、そこからは止めどなく魔力の濁流が集い渦巻くーー!!
「「五重詠唱ーー『氷王烈嵐(コラムス・タイフーン)!!』」」
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2025/2/6 05:45
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